8月の星空6選:「チョウザメの満月」からペルセウス座流星群まで

2024年8月20日、英国ロンドン中心部にそびえ立つ超高層ビル「ザ・シャード」の背後から、「スタージョンムーン」と呼ばれる8月の満月が昇る。名前の由来は、北米先住民が古くから晩夏に行ってきたスタージョン(チョウザメ)漁だ。(PHOTOGRAPH BY PETER MACDIARMID, EYEVINE/REDUX)

 8月は夜が寒くなく、有名なペルセウス座流星群もあり、天体観測に最適な月の一つだ。2025年は月が明るいせいで同流星群の輝きは弱まるが、空が晴れていれば観察できるだろう。

 しかし、夜空を照らし出すのは流星だけではない。2025年8月は、輝く満月はもちろん、月と惑星の接近などもある。見どころを紹介しよう。

8月9日:「スタージョンムーン」

2023年8月1日、スペイン、マドリードのクアトロ・トーレス・ビジネス・エリアに「スタージョンムーン」が昇る。(PHOTOGRAPH BY JAVIER SORIANO, AFP/GETTY IMAGES)

 8月の満月は「スタージョンムーン」と呼ばれており、2025年は9日に見られる。この愛称は農業年鑑「Farmers’ Almanac」が広めたもので、北米五大湖地域の先住民が古くから晩夏に捕獲してきたスタージョン(チョウザメ)に由来する。(参考記事:「チョウザメ 恐竜時代からのサバイバーを救えるか」

 月の出入りの正確な時間は場所によって異なるが、満月は通常、日没ごろに昇り、夜通し明るく輝き、日の出後に沈む。そのため、双眼鏡や望遠鏡で月面をじっくり観察する時間は十分ある。

8月12〜13日:ペルセウス座流星群の活動がピークに

ギャラリー:「チョウザメの満月」からペルセウス座流星群まで、8月の星空 写真6点(写真クリックでギャラリーページへ)

2024年8月13日、ドイツのハーガーマーシュ近郊で撮影。ペルセウス座流星群が夜空を横切るなか、オーロラの下で羊たちが草をはむ。(PHOTOGRAPH BY MATTHIAS BALK, PICTURE ALLIANCE/GETTY IMAGES)

 ペルセウス座流星群は最も見やすく、愛されている流星群の一つで、8月12日夜から13日未明にかけて活動のピークを迎えると予想されている。空が暗ければ、1時間に最大100個の流星が見られることもある。

 しかし2025年は、半月より大きい凸月が天体ショーを台無しにするかもしれない。米国流星協会(AMS)によれば、月の明るさは満月の84%に達し、流星の4分の3以上を消し去ってしまう可能性がある。(参考記事:「この日は金星と木星の大接近も、2025年の天文イベント9選+1」

8月19日:水星が太陽から西側に最も離れる

 8月19日、水星が地球から見て太陽の西側の最も遠い位置にくる「西方最大離角」に達する。日の出前の東の低い空を見てみよう。なかなか見られない水星を観察する絶好のチャンスだ。

 同じころ、金星と木星も見えるため、早起きする価値は十分ある。

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