「フィギュアも標的か」クレジットカード不正被害、年間500億円超の悪用から身を守る術

グラフィック・三好るき

使っていないはずのクレジットカードの利用履歴にある日突然、気付く。ネットショッピングやスマートフォンを使ったスマホ決済が日常に溶け込んだ今、そんな背筋が凍るような体験をした人は案外多いのではないか。不正利用による年間被害額は500億円超に上るという。そんな思わぬピンチに直面したときの切り抜け方を知っておこう。

クレジットカードなどの不正利用の検知サービスを手掛ける「かっこ」(東京)が6月、20歳以上の被害者400人に行った調査には、次のような事例が寄せられた。

40代の男性は、覚えのない1万円未満のホビー用品が知らないうちに購入されていたことを、クレジットカードの利用履歴で知った。

この調査で不正に購入された商品を聞くと、最多は家電・電子機器・パソコン(25.0%)で、2番目の「ホビー用品」(18.8%)は前年比約5ポイント増と被害が目立って増えていた。同社の小野瀬まい事業部長は「不正利用の目的は、基本的に商品を転売して利益を得ることなので、ねらわれる商品は流行を反映する。人気の高いトレーディングカードやフィギュアなどのホビー用品が標的になっていたと推測される」と分析する。

被害額は1万円以上2万円未満が17.5%で最多だった。小野瀬さんは「高額商品に比べて、被害に気付かれにくい低額商品が近年はターゲットになりやすい。少額で決済を試されたときに気付かなければ一気に攻撃される恐れもある」と指摘する。

「カード会社に連絡を」

では被害に気付いたら、どうすればよいのか。

クレジットカード会社や決済関連事業者などからなる「日本クレジット協会」(東京)の担当者は、「まずはカード会社に連絡し、必要な手続きを。会社によっては警察への被害届の提出や受理番号が必要となる場合がある」と説明する。利用を停止するだけでなく、カード会社の補償内容も確認しよう。被害に気付くのが遅れると、補償期限を過ぎてしまう恐れがある。

同協会によると、補償期間を60日に設定する会社は多いが、一律に定められているわけではなく、各社の会員規約によって異なるという。これを過ぎれば、カード名義人の「故意や過失」とみなされ、補償を受けることができない。

ほかにも、暗証番号を推測されやすい番号に設定していたり、他人に教えたりした場合は過失と判定されやすい。

同協会の調査によると、クレジットカードの不正利用での年間被害額は令和5~7年に3年連続で500億円を超えたという。担当者は「利用明細の支払総額だけでなく、個々の利用内容まで確認を。明細をこまめに確認することがトラブルの早期発見と被害の拡大防止につながる」と呼びかける。明細は通常、ウェブやアプリでは随時、更新される。すぐに気付けば補償の期限に間に合わせやすい。

利用通知サービスも使おう

防ぐ手立てはあるのか。「かっこ」による不正利用被害者への調査では、カード明細の確認が対策のトップとなった。

サイバー犯罪に詳しい元刑事で、防犯対策の情報発信などを行う「刑事事象解析研究所」(東京)の代表理事、森雅人さんが推奨するのは、本人認証サービス「3Dセキュア」の使用だ。決済時に認証コードを自分のスマホで受け取る設定にしておくと、未然に防ぎやすい。またカードの「利用通知サービス」のこまめな確認もすすめる。

ただし最近は、利用通知や認証コードを受け取るメールアドレスやパスワードが個人情報流出の被害に遭い犯罪者に把握されてしまうこともあり得る。

森さんは「それぞれが安心材料の一つではあるけれど、単一で安全とは思わないほうがよい」。多角的な対策が不可欠だ。(竹中文)

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