バスール、ウォルフの「不正示唆」に反発。F1開発競争を巡る応酬、支出上限が新たな火種に

フェラーリのチーム代表を務めるフレデリック・バスールは、フェラーリの開発ペースをコストキャップ違反と結びつけるような見方に反発し、レッドブルやメルセデスが開発で成果を上げれば称賛される一方、フェラーリだけ不正を疑われるのは不公平だと主張した。

ウォルフの疑念にバスール「かなり皮肉」

これは、メルセデスのチーム代表兼CEOを務めるトト・ウォルフが前戦オーストリアGPの決勝後、各チームに課せられた2億1500万ドルの支出上限を念頭に、フェラーリの積極的なアップグレードのペースに疑問を投げかけたことに対する反応だった。

ウォルフの発言を受けてバスールは、2026年F1第9戦イギリスGPの初日FP1を経て、「よりにもよってトトとメルセデスから出た言葉としては、かなり皮肉な話だ」と突き返した。

バスールが問題視したのは、同じ開発行為が、それを行う主体によって正反対に評価される点だった。

「レッドブルが開発すれば、あるいはメルセデスが開発すれば、天才的だと言われる。だが我々が開発すると、不正をしていることになる。少し冷静になるべきだ。我々はレッドブルや他のチームより多くのパーツを持ち込んでいるわけではない。冗談だったのかどうかは分からないが」

ウォルフの指摘はフェラーリの不正を示唆するものだと思うかと問われると、バスールはこう答えた。

「我々がコストキャップを超過していると考えているのなら、私に言わせれば、それは不正を示唆する方向の話だ」

金曜の記者会見を通じて、バスールはフェラーリのアップグレード攻勢について繰り返し質問を浴びた。友人であるウォルフと、その発言について直接話したかと問われると、バスールは「話をしないでおく方がいいと思った」と応じた。

発端となったウォルフの発言は、大規模アップグレードによってレッドブルがメルセデスの勝利を脅かしたオーストリアGP後に飛び出したものだった。

決勝を経てウォルフは、「フェラーリがあれほどの大型アップデートをああいう形で投入できることに、少し驚いている」と語った。

「私の考えでは、彼らは間もなくコストキャップの資金が底を突くはずだ。我々にはあれはできない。あれだけのパーツをあの調子で持ち込めるだけの余裕が、コストキャップの中に単純にないからだ。だから、シーズン終盤にはそれが変わることを期待している。彼らがもうパーツを持ち込めなくなる頃にね」

Courtesy Of Ferrari S.p.A.

縁石を乗り越えるシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2026年5月1日(金) F1マイアミGPフリー走行1(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)

フェラーリは今季、開発競争の先頭を走ってきた。マイアミで大型アップグレードを投入し、モナコには3つのサーキット専用アップデートを、そしてバルセロナには8点からなる新しいパッケージを持ち込んだ。バルセロナでの改良は、ハミルトンの今季初勝利を後押しした。

オーストリアではさらに4つのアップデートと、今季初となるADUOによるパワーユニット(PU)のアップグレードが行われた。だが、このレースではハミルトンが5位、シャルル・ルクレールが8位に終わる苦しい結末を迎えた。

ライバルチームがフェラーリを話題にすることは、良い仕事をしている証しとしての満足感を与えるものかと問われると、バスールは次のように答えた。

「ああ、もちろんだ。だが、オーストリアGP後のコメントを忘れないでほしい。バルセロナの後、我々は頂点にいた。一方でオーストリアでは、我々はどこにもいなかった」

バスールはまた、フェラーリのマシン開発はまだ初期段階にあり、同時にセットアップやタイヤマネジメントには依然として大きなパフォーマンス向上の余地が残っていると強調。それは時に、マシンのアップグレードよりも「はるかに大きい」と続けた。

「つまり、アップグレードを持ち込んで、それが機能していても、セットアップでミスをすればペースを失うこともある。我々はただ冷静でいなければならない」

フェラーリはシルバーストンでもさらなるアップデートを投入した。リアコーナー周辺を見直し、冷却性能の向上と局所的なダウンフォースの確保を図った。

ハミルトンがトップタイムを記録したFP1終了後の会見でバスールは、「他チームの燃料搭載量が分からないFP1の後では、アップグレードはどれも魔法のように見えるものだ。これについては、とにかく冷静になるべきだ」と語った。

その後に行われたスプリント予選でハミルトンは、自身も驚愕のポールポジションを獲得した。

Courtesy Of Ferrari S.p.A.

ピレリのポールポジション賞を手渡されるルイス・ハミルトン(フェラーリ)、2026年7月3日(金) F1イギリスGPスプリント予選(シルバーストーン・サーキット)

シルバーストンに新たな開発パーツを持ち込んだのは6チームにとどまった。メルセデス、アストンマーティン・ホンダ、アウディ、アルピーヌ、キャデラックは、新パーツを1つも投入しておらず、3パーツ以上持ち込んだチームもいない。

激しい開発合戦が、ここに来て鈍化しつつあるのかどうかはまだ見通せないが、マクラーレンのチーム代表を務めるアンドレア・ステラは、勢力図をめぐる今季の争いはかつてない水準で推移しているとの見方を示している。

「純粋なパフォーマンス開発、そしてそれをコース上で実際の速さに変える点も含めて、今年のF1は、これまでに見たことのない高い次元にある」とステラは語った。

コストキャップと開発競争をめぐる駆け引きは、まだ本格的な論争には発展していない。だがそれは徐々に、新たな火種となりつつある。

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